麻雀は、ゲームを繰り返し点数の授受を行い最終的に点数の一番多いプレイヤーが勝利者となります。この点数の授受に使用されるのが点棒(てんぼう)となります。

点棒とその使われ方-もくじ

点棒とは?

点棒

点棒は、各プレイヤーの点数を表すのに用いられる細い棒状の物となります。基本的にゲームを進行していくために「1万点棒」「5千点棒」「千点棒」「百点棒」の4種類が使用されます。

各点棒の特徴としては、「1万点棒」は、中心の黒点の周りに赤点が各3つその両端に黒点が各1つ、計9つの点が配置されています。「5千点棒」は、赤点が5つあるのみ。「千点棒」は、棒の中心に赤点が1つ。「百点棒」は2×4列の計8個の黒点で表されます。
※百点棒の偏りを防ぐため五百点棒が用いられることもありますが、一般的ではありません。また、点棒のデザインは作られたメーカーや種類により多少異なる場合があります。

この点棒は先程お伝えした通り、各プレイやの点数を表すために用いられますが、その他にも「リーチ棒(供託)」「積み棒」「罰符」等にも用いられます。

点棒はプレイヤーの点数を表す

麻雀で使用される点棒は、いろいろな場面で使用されますが、メインになるのが「各プレイヤーの点数」を表すために用いられます。

まず、最初に配られる点棒(持ち点)についてですが、ルールによって様々で、25000点だったり、20000点だったり、30000点だったりします。この最初に配ら得る持ち点のことを配給原点(はいきゅげんてん)と言い配原と略されて表示されることもあります。ここでは、4人麻雀で最も採用されることの多い配給原点25000点で解説していきます。

まず配給原点として配られる点棒についてですが、合計点数が25000点になっていれば良い訳でなく配られる点数の種類も決まっています。それが以下の表です。

項目 10000点棒 5000点棒 1000点棒 500点棒 100点棒
使用する本数 1本 2本 4本 0本 10本
語呂で覚える イチ ニー ヨン ・・・ トウ

10000点棒が1本
5000点棒が2本
1000点棒が4本
100点棒が10本

これを合計すると25000点となります。これが一般的なルールで最も多く採用されている配給原点となります。「イチ・ニー・ヨン・トウ」と語呂で覚えると覚えやすいと思います。

この配給原点を基準として点棒のやり取りを繰り返して、最終的に配給原点を上回っていればプラス、配給原点を下回っていればマイナス・・・となるわけではないので注意が必要です。配給原点の次に覚えて置くべきことが「原点」となります。

配給原点は最初に配られる点棒(点数)のことですが、原点はゲーム(半荘)終了時点でそのプレイヤーのポイントがプラスになるか、マイナスになるかを決める基準点の事を言います。

最もよく採用されるのが、配給原点(持ち点)25000点に対して、原点が30000点となります。このルールの場合は、最初に配られる点数は25000点ですが、ゲームをプラスで終えようとすると必ず30000点以上必要になるわけです。言い換えると「配給原点」と「原点」に差をつけることで各プレイヤーはゲームを始める前から各5000点マイナスになっていることになります。

そして、最初からマイナスされた点数分(4人×5000点=20000点)はそのゲームのトップのプレイヤーが総取りします。このトップ総取りのルールを「オカ」といいます。イラストにすると以下のような感じです。

麻雀オカ

この「オカ」を採用することで1位と2位が僅差で半荘終えてもオカがある為、最低でも20000点(20ポイント)以上の差が付き、よりゲームがスリリングな物になります。

千点棒は供託に使われる

麻雀で各プレイヤーの点数を表す点棒は供託(きょうたく)に使用されます。供託は何らかの行為をする(した)時に点棒を場に一時的に預けることを言います。

最も多くなる供託が立直(リーチ)です。リーチは自分の手牌がテンパイしている状態でリーチを宣言して1000点を供託することで成立する1飜の役となります。

立直(リーチ)

日本の麻雀は和了する為に1飜以上の役が必ず必要という1飜縛りのルールを採用しているので、「テンパイしているけど役が無い・・・」時に有効です。また、立直は宣言することで副産物として裏ドラ開示の権利がえられたり、リーチ宣言後1巡以内に和了すると成立する1飜の「一発」も付く可能性があるため、和了時の点数を伸ばしたい場合にも非常に有効な手段となります。

次にあげられる供託が、軽微なルール違反を犯した場合に行われる供託です。軽微なルール違反とは「ルール違反は犯したが、一応ゲームを続けることが可能」な状況のことを指します。

具体的には、「見せ牌(ミセハイ)」や「腰(コシ)」などがあげられます。
見せ牌は、打牌を行う前など、自分の牌を公開するべきでないタイミングで手牌の一部を他のプレイヤーに見せてしまう行為の事を指します。手牌の一部とは言え、公開してしまうとあるプレイヤーには有利に働き、あるプレイヤーには不利に働く可能性が有り、見せ牌をした場合は1000点の供託になるのが一般的です。

麻雀の腰については、麻雀は一定のテンポで摸打を繰り返していくのがマナーとなります。そのため、和了や副露をする素振りを見せて何もしない行為を腰といい、ルールとして腰を禁止しルール違反があった場合は、1000点の供託や腰付近の牌では和了を禁止するといった処置がとられるケースがあります。

ちなみに供託は一時的に1000点を場に預けてるだけとなり獲得の権利はその局を和了したプレイヤーにあります。仮に供託を行ったプレイヤーが和了した場合は供託をしたプレイヤー自身に供託した1000点棒が戻ってくることになります。また、その局に和了者が出なかった場合は次局に持ち越され次局で和了したプレイヤーに供託獲得の権利が与えられます。

百点棒は積み棒に使われる

積み棒(別名:場棒)とは、子のプレイヤーが連続で何回和了できていないかを示す目印の事で、この目印は一番本数の多い100点棒が用いられます。そのため、この積み棒(場棒)のことを100点棒と言ったりもします。

この積み棒は、親が和了した場合や流局する都度に1本ずつ増えていきます。そしてこの積み棒には1本につき300点の価値があり、積み棒がある局では、手役の価値で得られる点数の他に「積み棒の本数×300点」分の点数を得られることになります。

ちなみにこの、積み棒はその時の親番のプレイヤーが出すことになるのですが、リーチ棒等の供託とは異なるので、子が和了して積み棒がリセットされた場合は、積み棒を出した親がその積み棒を回収します。積み棒については以下のページで詳しく紹介しています。

点棒は満貫罰符に使われる

先程はゲームが進行できるような軽微なルール違反を犯すとペナルティとして1000点棒の供託が必要ということを説明しました。これに対して、満貫罰符はゲームの進行ができなくなるような重大なルール違反に適用されるペナルティーとなります。

ペナルティで動く点数は「満貫罰符」の名前の通り、親のルール違反は12000点(4000点オール)・子のルール違反で8000点(2000/4000点)となります。また、供託は一時的に場に1000点を預けているだけで、和了すると自分のところに戻ってきますが、満貫罰符の場合はルール違反が申告された時点で満貫の支払い義務が生じ、その局は無かったものとしてやりなおすのが一般的です。

満貫罰符になるようなルール違反は無数にありますが、麻雀初心者がルール違反になりやすいのが、フリテンでのロンあがりを宣言や役無しでの和了宣言になってくると思います。

点棒は不聴罰符(ノーテンバップ)に使われる

麻雀は原則、常に和了に向けて摸打を繰り返していかなくてはなりません。そのため局終了時点でテンパイをしていない場合は(和了を目指してないとみなされ)テンパイしているプレイヤーに1000点~3000点の罰符を支払う必要があります。この罰符のことを不聴罰符と言います。

不聴罰符は「テンパイしていないプレイヤー」から「テンパイしているプレイヤー」へ点数の授受が行われる為、4人全員がノーテンであったり、4人全員がテンパイしている場合は、不聴罰符は適用されません。

また、不聴罰符で移動する点棒の合計は3000点と決まっています。例えば、1人テンパイで3人ノーテンで流局した場合は、ノーテンのプレイヤーからテンパイしているプレイヤーに各1000点、計3000点の点数が移動します。逆に1人ノーテンで3人テンパイの場合は、ノーテンのプレイヤー1人が3人のプレイヤーに各1000点、計3000点の点数が移動することになります。まとめると以下のようになります。

不聴罰符(ノーテンバップ)点数の移動
1人テンパイ 他のプレイヤー3人が各1000点
合計3000点を負担
2人テンパイ 他のプレイヤー2人が各1500点
合計3000点を負担
3人テンパイ ノーテンのプレイヤー1人がテンパイしたプレイヤーに
各1000点、合計3000点を負担
全員テンパイ 点数の移動無し
全員ノーテン 点数の移動無し

このように必ず不聴罰符で点数が移動する場合はその合計点数が3000点となります。

まとめ

このように点棒は各プレイヤーの点数を表す以外にも供託や罰符、積み棒と言った具合に様々な場面で使用されています。今回は、麻雀で使用される点棒とその使われ方を簡単に紹介させていただきました。

少し蛇足となってしまいますが、リアル麻雀をしていると点棒の授受を行う時、点棒を「卓に滑らせる」「投げる」「叩きつける」といった行為を稀に見かけることがあります。

誰でも自分の点数が減っていくのは良い気分ではないと思いますが、麻雀はマナーがとても大切なゲームでもあります。悔しい気持ちもわかりますが、他のプレイヤーが和了して点数が申告されたら、和了したプレイヤーの近くに点棒を揃えて静かに置くようにしてください。これが、他のプレイヤー対する麻雀のマナーです。