麻雀には特定の役を確定させる副露があった場合や、副露が絡む特定の役での和了をさせてしまった場合、その副露を許したプレイヤーに通常とは異なる点数の支払いが適用される責任払いというルールが存在します。
責任払いが適用される役は主に役満となります。知らなければ、本来支払う必要のなかった大量の点数を支払う必要が出てくる場合があります。
知らなければ痛い目に合う。責任払いのルール-もくじ
知らなければ痛い目に合う。責任払いのルールとは?
責任払いとは、冒頭でお伝えした通り特定の役を確定させる副露や、副露が絡む特定の役での和了をさせてしまった場合、副露をさせてしまったプレイヤーに通常と異なる点数の支払いが適用されるローカルルールの一種となります。
ローカルルールにはなりますが、一般的に広く普及しているルールとなるの無視することはできません。ゲーム開始前にルールを確認しておくと良いですが、もし確認し忘れていた場合は責任払いはあるものとしてプレイしておくと不要なトラブルは回避できると思います。
責任払いが関わってくるのは【大三元】【四槓子】【大四喜】【大明槓⇒嶺上開花】の4つとなります。それでは1つずつ詳しく見ていきたいと思います。
大三元の責任払い
大三元とは3種の3元牌()を刻子、もしくは槓子にすることで確定する役満で役満の中では比較的出現率の高い役と言えます。具体的には以下のような牌姿です。
そして【大三元の責任払い】は以下のような牌姿の時に適用されます。
上記の牌姿ではとが副露により場に晒され他のプレイヤー全員がそれを確認できる状態になっています。
このような見え見えな手にを切りそれを副露され大三元を確定させた場合に責任払いは適用されます。
一つ前の牌姿に戻りますが、このようなに晒されている三元牌が1種だったり、三元牌は持っているもののメンゼン(副露しない)で手を進めている場合でキー牌を副露されても責任払いは適用されません。といのも3種の全ての牌が晒されていないと大三元の役が確定していないからです。
三元牌3種の暗刻が揃っているのに手を崩す人はまずいないでしょうが、副露していなければ三元牌を打牌して手を崩すことが可能です。つまり大三元の役が確定していないことになります。繰り返しになりますが、責任払いが適用されるのは、特定の役を構成する牌が副露により全て晒され、その役が確定された(動かせない)場合となります。
ちなみに、大三元を確定させる3つめの副露がポンではなく、大明槓でも責任払いは適用されるので注意しましょう。
四槓子の責任払い
四槓子はその名の通り、槓子を4つ揃えると確定する役満となります。基本の和了形である4面子1雀頭のうち4面子を槓子にする必要があるので待ちの形は必ず単騎待ちとなります。具体的には以下のような牌姿ですね。
大三元の時とは違い、34種の牌全てが責任払い対象牌になるので、特定のプレイヤーから槓子が3つもでれば、生牌(ションパイ=場に1枚も見えていない牌)は切れなくなってきますが、そもそも槓子を一人で4つ作ること自体が非常に困難なので、そういった場面に遭遇するとはきわめて低いと言えます。
さらに言うと複数プレイヤーの槓子の合計が4つになると、嶺上牌が無くなってしまい、四開槓(スーカイカン)といって途中流局となってしまいます。この四開槓も四槓子の出現率を下げる要因の一つになっています。(1人で4回の槓子、つまり四槓子テンパイの場合はそのまま局を続行します。)
責任払いが適用されるのは、大三元の時同様に四槓子を確定させる副露をさせてしまった場合、つまり4回目のカンを許してしまったプレイヤーに課せられることになります。
上記の牌姿のように4つ目のカンが暗槓、もしくは、暗刻から4枚目を引き当てる小明槓であれば、四槓子を確定させているのは自分自身なので責任払いにはならずに、ただの役満テンパイとなります。
大四喜の責任払い
大四喜は、の4種の風牌を刻子、もしくは槓子にすることで確定する役満です。役自体はメンゼンでも副露していても成立しますが、責任払いが適用されるのは4種全ての風牌が副露された時のみとなります。ですので以下のように1~3回しか副露されていない状態では責任払いには該当しません。
この牌姿では、が出れば、小四喜、がでれば大四喜の手でどちらも役満です。の大四喜の場合は出現率の低さからダブル役満を採用しているグループもあります。
ちなみに大四喜の包が適用されるのは以下のような牌姿の時です。
このような状態で4種目の風牌である、を副露させると、副露させたプレイヤーに責任払いが課せられることになります。大三元の時と同様に大明槓でも当然包は適用されることになります。
大明槓の責任払い
最後に紹介するのがこの大明槓の責任払いです。先ほどもすこし紹介しましたが大明槓とは手牌に暗刻がある際に、他家が該当する4枚目を打牌しそれを副露することによって4枚一組の槓子を作ることをさします。当然副露の一種になるので大明槓をした牌は場に晒す必要があります。具体的には以下のような牌姿です。
このように手牌に暗刻がある場合(例ではが暗刻)、他家が打牌した4枚目のを副露して槓子を作ることを大明槓と言います。カン(大明槓)を宣言したら、以下のようにを場に晒すことになります。
牌を90度回転させて置く位置は南家から副露した場合は一番右の牌を、
北家から副露した場合は、一番左の牌を、
西家から副露した場合は、中央の2枚のうちどちらか1枚を90度回転させて置くのがルールとなります。
以上が大明槓の基本的な取り決めとなる訳ですが、大明槓を宣言されたからと言って、それが責任払いになる訳ではありません。責任払いが適用されるのは【大明槓+嶺上開花】がセットになった時のみです。どういうことかというと・・・・
上記の牌姿では待ちのテンパイですが、ここで他家からが打牌されたので大明槓をします。(暗槓・大明槓・小明槓いずれも)カンを宣言すると通常3枚一組の面子を4枚一組とするため手牌が1枚少なくなるので牌を1枚補充しなくてはいけません。
この時補充する牌の場所は壁牌からではなく王牌にある嶺上牌からとなります。そしてこの王牌にある嶺上牌が和了牌であれば嶺上開花と呼ばれる1飜の役が追加されることになります。
つまり例の牌姿では、嶺上牌でが出れば、を鳴かせてしまったプレイヤーに責任払いが適用されることになります。ちなみに暗槓や小明槓の場合、自分のツモ牌でカンを行うものなので、嶺上開花が成立しても責任払いは発生しません。
次は、実際に責任払い(=包/パオ)が確定した和了があった時の点数の流れを詳しく見ていきたいと思います。
責任払いが確定した和了があった場合の点数の授受について
責任払いが確定すると、責任払いが適用されたプレイヤーは自身が放銃していなくても必ず点数を支払うことになります。これにはいくつかのパターンがあるので確認していきましょう。
役満の責任払いが確定した和了の点数の授受
例えば上記の牌姿。対面の西家のの打牌により大三元が確定しています。この時、東家の和了するパターンは・・・・
1.責任払いが適用されている西家の放銃
2.責任払いに関係が無い南家や北家の放銃
3・東家がツモで和了
の3つとなります。
1.責任払いが適用されている西家の放銃
責任払いが適用されている西家が放銃した場合は、責任払いはお咎め無しです。少し表現に語弊があるかもしれませんが、当然親の役満48000点の支払いは西家に生じます。お咎め無しというのは自身で役満を放銃したら責任を果たしたのでそれ以上の支払いは不要という意味となります。
2.責任払いに関係が無い南家や北家の放銃
次は、責任払いに関係のない南家や北家が東家の役満に放銃してしまった場合です。この場合は放銃したプレイヤーと責任払いが適用されたプレイヤー、つまり西家で折半して点数を支払うことになります。
つまり、例えば南家が東家の役満に放銃してしまった場合は、通常は南家が48000点、東家に支払う必要があるのですが、責任払いが適用されている場合、半分ずつの南家24000点・そして西家にも24000点の支払い義務が生じることになります。
責任払いが適用されている場合の和了で一番被害が少なく済むのがこの【責任払いに無関係な第3者の放銃】となります。
3・東家がツモで和了
東家が役満をツモで和了した場合、通常は南家・西家・北家で各16000点ずつ支払うのですが、当然この場合も責任払いのルールが適用されます。このような場合は役満を確定させてしまった責任で48000点の全ての点数は西家が支払う必要があります。
役満が複合する場合の責任払いの点数の授受
非常にレアケースにはなりますが、ダブル役満を採用している場合であれば、ダブル役満にも責任払いは適用されます。ただし責任払いが適用されるのは、役満を確定させてしまった役にのみです。ここだけ押さえておけば点数の移動に迷うことは無いと思います。
例えば上記の牌姿は、南家のの打牌で大三元が確定してしまった、大三元・字一色のダブル役満テンパイの牌姿です。この場合の点数の移動は以下の通りとなります。ポイントは役満を確定させてしまった副露は大三元のみというとこです。
1.責任払いが適用されている南家の放銃
責任払いが適用されている南家が放銃した場合当然、南家が東家に96000点支払うことになります。
2.責任払いに関係が無い西家の放銃
次に、責任払いに関係が無い西家がダブル役満に放銃した場合は、まず大三元の役満分の点数を南家と折半して南家と西家がそれぞれ24000点支払うことになります。そして責任払いと関係のない字一色の役満48000点分は西家が支払うことになります。
ですので集計すると、南家=24000点 西家=72000点 東家に支払うことになります。
3.責任払いに関係が無い北家の放銃
前述と全く同じで西家が北家に代わるだけです。
ですので、南家=24000点 北家=72000点 東家に支払ことになります。
3・東家がツモで和了
東家がダブル役満をツモ上がりした場合は、まず責任払いを確定させてしまった大三元に対しては、南家が全点数を・・・つまり48000点を東家に支払います。
役満を確定させたわけではない字一色に対しては、責任払いが適用されないので、南家・西家・北家がそれぞれ16000点を東家に支払います。
集計すると、南家=64000点 西家=16000点 北家=16000点、東家に支払うことになります。
大明槓の責任払いが確定した和了の点数の授受
役満の時とは違い、大明槓の責任払いでは和了した時の点数が一定ではありません。つまり手役やドラ数によって支払う点数は変化することになります。手役が満貫以上の点数であれば、点数計算は非常に楽です。しかし満貫未満の手になるとグループによって取り決めや解釈が様々なので事前の確認が必要になってきます。
ちなみに大明槓の責任払いの形は、必ず嶺上開花のツモによる和了になるので、点数を支払うのは責任払い適用者一人となります。そのため、満貫以上の点数で責任払いが適用した場合の点数の授受は
子に支払う場合は
満貫 8000点
跳満 12000点
倍満 16000点
三倍満 24000点
数え役満 32000点
親に支払う点数は
満貫 12000点
跳満 18000点
倍満 24000点
三倍満 36000点
数え役満 48000点
となります。要は責任払いが適用されたプレイヤーが放銃したものとして考えるわけですね。では満貫未満の点数ではどのような解釈の違いがあるか見ていきます。
大明槓の責任払いはツモあがり?ロンあがり?
満貫未満の点数になるとツモあがりとロンあがりで移動する点数に少しですが誤差が生じる場合があります。例えば、子の30符1飜は1000点です。当然放銃なら移動する点数は1000点です、しかしツモあがりであれば、300点・500点となり移動する点数の合計が1100点となり100点の誤差が生じます。
もう一つ例を上げると、親の30符3飜は5800点です。放銃の場合は5800点がそのまま動きますが、ツモで和了した場合は2000点オールとなり移動する点数の合計は6000点となり200点の差が生じます。
つまり、大明槓の責任払いをツモあがりとするか、放銃(ロンあがり)とするかで支払う点数が微妙に違ってくるのです。
多い意見としては、【大明槓の責任払いはツモあがりとする】というものです。理由としてあげられるのが、、、
- 嶺上牌をツモってあがっているんだからツモあがり。ツモはツモ!
- 責任払いが適用していない場合、嶺上開花はツモあがりになる。責任払いが適用したからといって、放銃扱いとして点数が減るのはおかしい。
等があげられます。逆に【大明槓の責任払いはロンあがりとする】場合の理由としてあげられるのが
- 点数支払うのが一人であるのならばロン扱い。ツモ上がりは3人が点数を支払うもの。
という意見が多くなっています。一般的に後者のロンあがりを採用しているグループが多くなっていますが、結局はそのグループの決め次第。100点や200点でもTOPが入れ替わる場合があるので事前にしっかりと取り決めをしておく必要があります。
大明槓の責任払いにツモ点の2符は付く?
通常、嶺上開花が成立した場合は嶺上牌のツモをもって和了となるので、ツモ点である2符がつきます。ですが、大明槓の責任払いはロン扱いしているグループが多いと紹介しました。ロン扱いするのであれば、ツモではないので当然ツモ点である2符はつかないことになります。
ですが、この場合ツモ点の2符を採用するケースが多くなっています。理由としては、「大明槓の責任払いはロン扱いにするが、動作としてツモっているのでツモ点の2符が付く」となんとも釈然としないものとなっています。
また、同様に待ちがシャンポン待ちだった場合はロン扱いの明刻ではなく、ツモの暗刻扱いとして符点を計算することが多くなっています。符点によっては符ハネになって30符が40符になったり、40符の手が満貫になったりします。
こちらも先程同様にローカルルールですので、優先されるのはその場のルール決めです。不要なトラブルを避けるために事前に取り決めをしておく必要があります。