一般的に麻雀は一人の放銃に対して和了(あがり)は一人とします。ですが、麻雀は同種の牌が4枚あり、役の形も様々な為、時には一人の打牌に対して2人ないし3人の和了者が出てしまう場合があります。
このような場合に、局開始前にしっかりと取り決めを確認しておかないと、意図しないトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
頭ハネとダブロンとトリロン-もくじ
頭ハネとダブロンとトリロンとは?
- 頭ハネとは
- 頭跳ねとは、ダブルロン・トリプルロンといった1つの打牌に対して、複数の和了者が出てしまった場合、複数の和了者は認めず規定に従い和了者は一人だけにするとしたルールです。また、手役以外にも場棒やリーチ棒、その他の供託のやり取りにも用いられます。この頭ハネのことを「上家取り」と言う場合もあります。
- ダブロン(ダブルロン)とは
- 1つの捨て牌で2人の和了者が出ることで、頭ハネを採用していない場合は2人共に和了が認められるローカルルールとなります。
- トリロン(トリプルロン)とは
- 1つの捨て牌で3人の和了者が出ることで、頭ハネを採用していない場合は、3人共に和了を認めるか、もしくは「三家和の流局」のどちらかを選択することになります。
ではもう少し掘り下げて詳しく見ていきます。
頭ハネ
頭ハネ【別名:上家取り】は一人の打牌に対して複数のプレイヤーが、あがり(ロン)を宣言した場合、複数のロンを認めないとするルールで必ず和了者は一人になります。
競技麻雀ではこの頭ハネを採用していますが、オンライン麻雀ゲームや仲間内で麻雀を楽しむ場合はゲーム性を上げる(もりあがる)為、頭ハネを採用せず、ダブロンやトリロンを採用しているケースが多くなっているのではないでしょうか。
頭ハネの取り決め
では、ダブロンやトリロンを認めない頭ハネの取り決めを確認していきます。
言っていることはどちらも同じです。「上家取り」というのは後者の「放銃者が自分の上家に・・・・」というところからきています。
例えば・・・・
東家の打牌に「南家」「西家」がロンを宣言した場合は、東家から見てツモ番が最も早い和了者の南家のみの和了だけが認められます。「ツモ番が一番早いプレイヤー=反時計回りに見て最も早い和了者」のことになります。
もう一つ例を挙げておくと、西家の打牌に対して、「東家」「南家」がロンを宣言した場合は、西家から反時計回りに見て、最も早い和了者になる東家のみの和了が認められることになります。
「上家取り」という名前が招く混乱
頭ハネは別名、上家取りと呼ばれていますが、この「上家取り」という言葉が原因で正しく頭ハネを理解できていない方がおられます。
例えば、東家の放銃に対して、「南家」と「北家」がロンを宣言した場合、放銃者目線で考えると上家は北家、つまり北家の和了が認められると認識している方が時々おられますがこれは間違いです。
上家取りというのは放銃者目線ではなく和了者目線で考えた表現になっています。つまり、和了者の上家(方向)に近い放銃者から点数を受け取るという意味になるので、今回の場合、和了者(南家)目線で見た上家、つまり「南家」が「東家」から点数を受け取るということを意味しています。
ダブロン【ダブルロン】
ダブロンはダブルロンの略称で別名【二家和/リャンチャホー】と呼ばれ、その名の通り放銃者一人に対して和了者が二人でた状況の事を指します。和了者を一人に限定する頭ハネを採用していない場合、二人共に和了が認められることになります。
ダブロンを採用する場合に必要な決め事
ダブロンを採用するなら事前に確認しておく決め事が3点あります。それが「連荘」と「積み棒」と「供託」です。
ダブロン時の連荘について
連荘(れんちゃん)とは、親番を連続で行うことで、麻雀での親番は獲得できる点数が子の1.5倍となっていて連荘することでゲームを優位に進めることができます。
連荘にもいくつか種類があり、「親が和了した時、もしくは親がテンパイで流局した時」を連荘とするテンパイ連荘と「親が和了した時のみ」を連荘とするアガリ連荘(アガリのみ連荘)があります。
一部のグループでは、「南場に限り親がノーテン流局しても連荘にする」だとか、「オーラスの親はノーテンでも連荘する」とした形をとっているところもありますが、基本的には「親が和了した時、もしくは親がテンパイで流局した時」を連荘とするテンパイ連荘を採用している場合が多くなっています。
共通している部分は「親が和了で必ず連荘」そして「子が和了で必ず輪荘(親流れ)」するということです。ですので、親と子が同時に和了する可能性があるダブロンを採用するのであれば連荘の取り決めが事前に必要となります。
考えられるケースは、以下の3通り。
- 親が和了しているので連荘する。
- 頭ハネの時同様に、放銃者からみて反時計回りにみて親が近ければ連荘、子が近ければ輪荘(親流れ)する。
- 子が和了してるので輪荘(親流れ)する。
基本的には1番の「親が和了しているので連荘する」とする場合が多いと思われますが、ダブロン自体がローカルルールなので、その場のルール決めが最優先されます。
ダブロン時の積み棒について
積み棒は子が連続で何回上がれていないかを示す為、場に出される100点棒の事で別目「場棒」とも言われます。そのため、積み棒が1本出ていればその局を一本場、二本出ていれば二本場、三本でていれば三本場と言ったりします。
積み棒は子が和了できなかったあらゆる場面で増えていきます。具体的には、「親が和了した場合」「親がテンパイで流局した場合」「親がノーテンで流局した場合」「子がテンパイで流局した場合」「子がノーテンで流局した場合」となります。
このような場合、積み棒としてその時の親番のプレイヤーが100点棒を出し、子が和了する以外で局が終了する度に一本ずつ追加していきます。逆に子が和了すると積み棒はリセットされまた0本場からスタートすることになります。
この積み棒には1本につき300点の価値があり、その時の和了者は手役で得られる点数とは別におまけとして積み棒の本数×300点を受け取ることができるのです。
この積み棒についてもダブロンを採用するのであれば事前に取り決めをしておく必要があります。
- 積み棒の処理も「頭はね」ルールに当てはめて、放銃者からみてツモ番が一番早い和了者一人だけ積み棒の加点を獲得できる。
- 和了者全員が積み棒の加点を獲得できる。
基本はこの二択になります。どちらを選ぶかはルール決め次第ですが、1の頭ハネのルールを当てはめるケースが多くなっています。
ちなみに積み棒は子が連続で何回和了できていないかを示すために場に出されているにすぎません。リーチ棒やその他の供託とは違いただの目印となる為、子が和了して積み棒がリセットされる場合は、積み棒を出したプレイヤー(親)が積み棒を回収します。
ダブロン時の供託について
供託とは、局の途中で1000点棒を卓に出す行為のことで、リーチ棒がまさにそれです。
リーチ棒は自分の手がテンパイ(有効牌が入れば和了できる状態)になるとリーチを宣言し供託することが可能になります。リーチ棒を供託することでリーチと言う名の1翻が確定する他、リーチの副産物として同じく「1翻の一発」や裏ドラ開示の権利を得られます。
その他にも軽微なルール違反、例えば空ポン(クウポン)・空チー(クウチー)・空カン(クウカン)などの一度宣言した副露を取り消したり、自分の手牌の一部を公開するべきでないタイミングで公開してしまう「見せ牌」なども1000点の供託を行う場合があります。
この供託は取り決めでその局の和了者が必ず総取りすることになり、和了者が出ないで流局した場合、供託は次の局に持ち越されその局の和了者の者となります。基本ルールである頭ハネであれば、必ず和了者が一人になるので迷うこともありませんが、複数の和了者が出てし合うダブロンを採用している場合は取り決めが必要になってきます。考えられるケースは以下の通りです。
- 頭ハネのルールに当てはめて上家取り、つまり放銃者からみてツモ番が最も早い和了者が総取りする。
- 和了者全員で供託を折半。
となりますが、2.の「和了者全員で折半」は一般的では無いと思います。やはりこの場合も1.の頭ハネのルールに当てはめて「上家取り」とするケースが多くなっています。
トリロン【トリプルロン】
トリロンはトリプルロンの略称で別名【三家和/サンチャホー】と呼ばれ、その名前が示す通り、放銃者が一人に対して和了者が三人出た状況のことを指します。ダブロンの時同様に、和了者を一人に限定する頭ハネを採用していない場合は事前にいくつか取り決めをしておく必要があります。
トリロンを採用する場合に必要な決め事
トリロンが採用されているなら、ダブロンも採用されているはずなので、基本的な取り決めはダブロンに準じます。ただトリロンの場合は、ダブロンの時にはない「三家和の流局」という選択肢があるので、まずは「三家和の流局」を採用すかしかいかを決めます。
三家和の流局とは
トリロンが発生した場合、頭ハネ(和了者を一人にしない)を採用しないのであれば、次に決めておかないといけないのがこの「三家和の流局」となります。三家和の流局は別名、三家和流れといい放銃者一人に対して和了者が3人出てしまった場合、特別ルールとしてその局は流すというものです。もちろん点数の受け渡しは行いません。
三家和の流局を採用しないのであれば、取り決めはダブロンに準じます
「トリロンは頭跳ねしない」⇒「三家和の流局もしない」のであれば、取り決めは上で紹介したダブロンの決め事に合わせるのが一般的です。上で紹介したものと同じ内容ですが、簡単にまとめておきます。
- 親が和了しているので連荘する。
- 頭跳ねのルールを当てはめて、放銃者の下家に親がいれば連荘、対面や上家に親がいれば輪荘(親流れ)する。
- 子が和了しているので輪荘(親流れする)
- 頭跳ね・・・つまり上家取りを当てはめて、放銃者から見て下家のプレイヤーだけが積み棒の加点を獲得できる。
- 和了者全員が積み棒の加点を獲得できる。
- 頭跳ね・・・つまり上家取りを当てはめて、放銃者から見て下家のプレイヤーが供託を総取り。
- 和了者全員で折半。
基本的にはこの中から、いずれかを選択することになります。どの選択もリストの【1.】が採用されることが多くなっています。ただしくどいようですが、この辺りはローカルルール、その場のルール決めが最優先されるので、その場のルールに従うようにしましょう。