麻雀の点数の授受はだれかが和了した時だけではありません。和了以外での点数の授受でもっとも一般的なものが、不聴罰符【ノーテンバップ】となります。不聴罰符は聴牌していなかったプレイヤーから聴牌したプレイヤーへ点数が移動する麻雀の基本ルールです。ここでは、聴牌と不聴罰符について詳しく見ていきたいと思います。

聴牌【テンパイ】と不聴罰符【ノーテンバップ】-もくじ

テンパイとは

麻雀におけるテンパイとは、あと1枚必要な牌が入れば役が有ろうが無かろうがとりあえず和了形になっている状態のことをいいます。(もちろん1飜以上の役がなければ和了することはできません。)

テンパイの種類

テンパイは【リーチ】【ダマテン】【副露テンパイ】【形式テンパイ】の4種に分かれますので特徴を以下にまとめておきます。

立直(リーチ)によるテンパイ

立直(リーチ)

麻雀は和了する(あがる)ために、必ず麻雀のルールで定められた1飜以上の役が必要になってきます。リーチは麻雀の数ある役の中で最も基本的な1飜の役となりリーチを他家に宣言することで、和了した時に1翻以上が確定します。

リーチをする為には、4つの条件を満たす必要があります。そしてこの中の条件の1つに【テンパイ】が含まれます。リーチをするための条件は以下の通りです。

テンパイしていること

リーチを宣言するためには、有効牌が1枚入るとあがれる状態、つまりテンパイしている必要があります。

メンゼンであること(副露をしていないこと)

リーチはメンゼンである必要があります。副露(鳴き)が入るっているとリーチはできません。(自身のツモによる暗槓は除きます。)

持ち点が1000点以上あること

リーチを宣言するためには、供託といって1000点を場に出す必要があります。なので持ち点が1000点未満の場合はリーチは不可とするのが一般的です。

リーチを宣言後、最低1回以上のツモが必要

リーチを宣言する場合は、宣言後に最低1回以上の自摸番がある必要があります。つまり壁牌が4枚以上残っている必要があります。

リーチは宣言することで、自身がテンパイしていることを知られてしまうというデメリットがありますが、リーチの副産物として、【裏ドラ】や【一発】等和了した時の得点UPが期待できます。

リーチについては、初心者即リー【立直(リーチ)】のススメ!!で詳しく紹介しているので、よければ参考にしてみてください。

黙聴(ダマテン)

ダマテン・テンパイ

黙聴(ダマテン)その名の通り1翻以上の役が確定しているテンパイでなおかつ、リーチを宣言しない、つまり黙ったままのテンパイとなります。ダマテンの条件は1翻以上の役が確定しているメンゼンテンパイとなります。

リーチを宣言しないので、供託の1000点(リーチ棒)やリーチ宣言する時のように壁牌の残り枚数が4枚以上必要等の細かい条件はありません。

ちなみに、上の牌姿はダマテンで369ピン待ちなのですが・・・・少し注意が必要です。

3ピン(3ピン)の出あがりの場合

3ピンの出あがりの場合、【親のピンフ+ドラ1】なので、2900点となります。1翻の役であるピンフが付いているのでダマテンが可能です。ちなみにドラ1は1翻ではありますが、役ではないのでドラ牌のみでのダマテンは不可なので注意しましょう。

6ピン(6ピン)の出あがりの場合

6ピンの出あがりの場合、【親のピンフ】なので1500点となります。先程と同様にピンフが付いているのでダマテンすることが可能です。

9ピン(9ピン)の場合・・・・

9ピンが出た場合、69ピンのノベタン待ちとなり、ピンフが付きません。つまり役が無いのでこの状況で出あがりすることはできないので注意が必要です。和了するためには、自分自身でツモって1翻の役であるメンゼンツモを付けるか、リーチを宣言し1翻の役を確定した後に9ピンが切り捨てられるのを待つ必要があります。

また多面待ちの場合、同巡内フリテンにも注意が必要です。同巡内フリテンはリーチをしていない状態で和了牌やそれを含む多面待ちの牌を一度見逃すと、次の自分のツモ番が過ぎるまで、つまり同巡内においてロンであがることができないというものです。具体的に言うと・・・

ダマテン・テンパイ

上の牌姿で下家が9ピンを打牌した場合、東家は和了牌ではありますが役がないため上がることはできませ。その後同巡内にて対面や上家が役が付く36ピンを切り捨ててもあがることはできません。

ちなみにリーチ後の和了牌の見逃しはリーチ後のフリテンと言って同巡内フリテンとは違い、一度見逃してしまうとその局が終了するまでロンを宣言することはできないので注意が必要。

副露してテンパイ

副露ポンチーホンイツ
副露三色単騎待ち
副露ポンカントイトイシャン

副露、つまりポン・チー・カンをしていても和了形の一歩手前ならテンパイとなります。他家の捨て牌を自身手役に加えるので和了形までのスピードが格段にUPします。ただし、副露すると順子系の役は食い下がりといって役の価値が1飜下がり、もともと1飜しかない、ピンフや一盃口は役が消失します。

副露する場合は、副露した結果自分がどんな役で和了できるかよく考えてから副露するようにしましょう。

+

①中+ホンイツ=3翻 ノベタンの47ソウ待ち。
②三色=1翻 北の単騎待ち
③トイトイ=2翻 西2ワンのシャンポン待ちとなります。

形式テンパイ

形式テンパイ1
形式テンパイ2
形式テンパイ3

最後に紹介するテンパイがこの形式テンパイ(形テン/ケイテン)。形式テンパイとは1飜以上の役が確定していないテンパイのことです。メンゼン(副露:鳴いていない)状態でツモれば、メンゼンツモの1飜が付くので和了できますが、メンゼンでなければツモあがりはもちろん、特例を除いて出上がり、つまりロンで和了することもできません。

結論として、形式テンパイは本来積極的に避けるべきテンパイとなります。上の牌姿は3種とも、和了形にはなっていますが、役が確定しないため、基本的に和了することができない形式テンパイとなります。

形式テンパイでも和了できる4つの役

形式テンパイになると基本的には和了することはできません。ただし完全に和了することができない訳でもなく和了することが可能な役が4種あります。稀なケースにはなりますが、見逃さないように注意しましょう。

ハイテツモ
海底牌・リンシャンハイ

正確に言うと海底摸月(ハイテイモーユエ/ハイテイツモ)といいます。海底摸月は壁牌最後のツモ牌が和了牌なら付く1飜の偶然役となります。食下がりしない役なので形式テンパイの状態でも和了することができます。メンゼンの場合(鳴いていない場合)はメンゼンツモの1飜と海底摸月の1飜で計2飜が確定する役でもあります。

ハイテイロン

ハイテイツモは海底牌のツモあがりで付く1飜の役でしたが、河底撈魚(ホウテイラオユイ/ホウテイロン/ハイテイロン)は、海底牌をツモしたプレイヤーの打牌が和了牌なら付く1飜の役となります。

ハイテイツモ同様に食い下がりしない1飜の役になるので、役が無くても鳴いていてもハイテイロンで和了することができます。

ちょこっとポイント

ハイテイロンは海底牌をツモしたプレイヤーの打牌に付く役になるので、必ずしも切り捨てられる牌が海底牌である必要はありません。

リンシャンカイホウ

カンを宣言すると通常3枚1組の面子が4枚1組となるため、面子を構成するための牌が1枚少なくなります。そのため、カンを宣言したら王牌(ワンパイ)から嶺上牌を補充します。この補充した嶺上牌で和了するとリンシャンカイホウの1飜がつきます。リンシャンカイホウも食い下がりしないので、副露していても役が確定していなくても和了することが可能です。

カンには、配牌+ツモのみで揃える暗槓(アンカン)、もともと3枚1組の刻子がある状態で他家の捨て牌を鳴いて作る大明槓(ダイミンカン)、そして、ポンをした後、4枚目を引き当て刻子から槓子に変化させる小明槓(ショウミンカン/別名・加槓)の3種類あります。

それぞれ特徴があり、暗槓は他家の捨て牌に頼らない為、メンゼン扱いとなります。そのためリーチが可能です。もちろんメンゼン扱いになるので、リンシャンカイホウの1飜が付く場合はメンゼンツモの1飜も付くので計2飜以上が確定します。

大明槓は、メリットよりもデメリットの方が大きくなる状況が多いのでそれほど見る機会は無いと思います。大明槓は自身に手牌に有る暗刻に他家の捨て牌をくっつけることでわざわざ暗刻を崩して明槓をつくります。つまりメンゼンがくずれリーチをすることができません。当然リーチができないので裏ドラ・カン裏ドラの権利がなくなります。

動かせる手牌が少なくなり守備が弱くなったり、同種の4枚の牌が枯れていることを他家に知らせるのは他の種類のカンと同じですね。

メリットについては、暗槓や小明槓と基本的に同じでカンを宣言することでカンドラ(表)が増えたり、海底牌をズラしたりすることが可能。

大明槓の特有のルールとしては、大明槓の包、つまり責任払いがあります。大明槓によりリンシャンカイホウが成立した場合、その分の支払いは大明槓をさせたプレイヤーが一人で負担する必要があります。

最後に小明槓(ショウミンカン/別名・加槓)ですが、小明槓は先ほど説明した通り、すでにポンをしている状態で、4枚目の同種の牌を引き当てたとき、カンと発声することで明刻から明槓へ変化させることができます。

大明槓の時とは違い既に副露をしてメンゼンが崩れているのでそもそもリーチはできません。符点が高くなることやドラ表示牌が増えることを考えると大明槓よりもはメリット割合が高いと言えます。

槍槓(チャンカン)

つい先ほど紹介した、小明槓(ショウミンカン/別名・加槓)の続きです。槓子の中で小明槓だけ特殊で、小明槓(加槓)で付け加えられた牌は河に捨てた牌と同じとみなされます。つまり小明槓した牌があがり牌ならロンを宣言することができます。これが1翻の特殊役で槍槓(チャンカン)と言います。

逆に言うと小明槓が和了牌だった場合、それを見逃すと、フリテン(同巡内フリテンやリーチ後のフリテン)になってしまいます。くどいようですが、小明槓で追加された牌を河に打牌した牌と同じと覚えておきましょう。

槍槓(チャンカン)も食い下がりはしないので、副露していようが、形式テンパイであろうが和了牌であればロンを宣言することができます。

形式テンパイにならないテンパイ

見た目は形式テンパイですが、形式テンパイにならないテンパイがいくつかあります。キーワードは純空となります。純空とは別名、空聴といい、空っぽのテンパイ・・・つまり和了牌が完全に枯れている状態のテンパイのことを指します。

自分の手牌で和了牌を潰している場合
形式聴牌にならないテンパイ②
形式聴牌にならないテンパイ

どちらも、自身の手牌で和了牌を完全に枯らしています。このような場合はノーテンとするのが一般的です。またメンゼンでリーチができる状態であっても自身で和了牌を4枚全て潰してる純空でリーチを宣言すると、空聴リーチでチョンボ扱いになる場合があります。この辺りはルール決め次第になるので事前に確認しておくと良いかもしれません。

他家の捨て牌や副露牌が絡んで和了牌が枯れている場合
空聴でも形式テンパイにナルケース

先程と同様に和了牌が完全に枯れている空聴です。ただし、先程とは違い他家の牌が絡んでいるのでこの場合はテンパイとするのが一般的です。(テンパイ後に他家の副露等であがり牌が枯れるケースがある為)・・・・がこれもやはりルール決め次第になるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

以上が聴牌の基本となります。ここからは和了者が出なかった場合、テンパイしなかったプレイヤーがテンパイしたプレイヤーに支払う不聴罰符について紹介していきます。

不聴罰符【ノーテンバップ】とは?

不聴罰符は和了者が出なかった場合、つまりその局が流局した場合適用される罰則の一つです。支払い対象になるのはその名の通りノーテン、つまりテンパイしていないプレイヤーとなります。通常、誤ロンやフリテンリーチなどの罰符(罰則)は満貫払い(親:12000点/子:8000点)となりますが、流局は比較的よく起こるので罰符で支払う点数は1000点~3000点と比較的軽微なものとなっています。

移動する点数の割り振り

4人麻雀の場合、不聴罰符で移動する点数は、親でも子でもその合計が3000点という決まりがあります。

例えば、テンパイ者が一人で他の3人がノーテンで流局した場合テンパイしていないプレイヤー3人がテンパイしたプレイヤー一人に各1000点、合計3000点支払うことになります。

次に流局時にテンパイ者が2人そしてテンパイしていないプレイヤーが2人いる場合は、テンパイしていないプレイヤー2人がテンパイしたプレイヤーにそれぞれ1500点、合計3000点支払うことになります。

このように、流局の不聴罰符で点数が移動する場合は、その合計が必ず3000点になります。流局でも点数が移動しないケースもあります。不聴罰符による点数の移動を以下の表にまとめているので参考にしてみてください。

不聴罰符(ノーテンバップ)点数の移動
1人テンパイ 他のプレイヤー3人が各1000点
合計3000点を負担
2人テンパイ 他のプレイヤー2人が各1500点
合計3000点を負担
3人テンパイ ノーテンのプレイヤー1人がテンパイしたプレイヤーに
各1000点、合計3000点を負担
全員テンパイ 点数の移動無し
全員ノーテン 点数の移動無し

不聴罰符の破壊力

不聴罰符は罰則が1000点程度の軽い物・・・と思っているプレイヤーは少なくないと思いますが、流局時にテンパイしているともらえるテンパイ料は結構なものです。

すぐ上の表で割り振りを紹介しましたが、一人テンパイで流局した場合は3000点のプラスです。逆に自身以外の3人がテンパイしている場合は各1000点の罰符で合計3000点も支払う必要があります。これを冷静考えるとなかなかの点数だとわかると思います。

分かりやすいように子の点数表に当てはめてみます。

符点/翻数 あがり方 1翻 2翻 3翻 4翻
20符 ロン 無し 無し 無し 無し
ツモ 400 700 700 1300 1300 2600
25符 ロン 無し 1600 3200 6400
ツモ 無し 無し 800 1600 1600 3200
30符 ロン 1000 2000 3900 7700
ツモ 300 500 500 1000 1000 2000 2000 3900
40符 ロン 1300 2600 5200 満貫
8000
子2000
親4000
ツモ 400 700 700 1300 1300 2600
50符 ロン 1600 3200 6400
ツモ 400 800 800 1600 1600 3200
60符 ロン 2000 3900 7700
ツモ 500 1000 1000 2000 2000 3900
70符 ロン 2300 4500 満貫
8000
子2000
親4000
ツモ 600 1200 1200 2300
80符 ロン 2600 5200
ツモ 700 1300 1300 2600
90符 ロン 2900 5800
ツモ 800 1500 1500 2900
100符 ロン 3200 6400
ツモ 800 1600 1600 3200
110符 ロン 無し 7100
ツモ 1800 3600

このように3000点と言うと子供の場合、90符1飜・50符2飜・25符3飜程度の点数があります。つまり、1人テンパイという条件が付きますが、下手に30符1飜の1000点や30符2飜の2000点で和了するよりも不聴罰符で得られる点数の方が破壊力があるのです。逆に言うと、自身のみがテンパイ出来ず流局してしまうと、結構なダメージになってしまいます。

半荘を通すと不聴罰符だけで跳満程度の点数が動くこともあり、勝敗に大きく影響を与える場合があり決して無視してはいけない要素となります。和了できなのであれば必ず不聴罰符とテンパイの点数移動を意識する必要があります。

目指せ!形式聴牌

不聴罰符を避けるため、また流局時にテンパイ料をもらう為には、流局時にからなず手牌がテンパイになっていることが不可欠です。ですが、麻雀は運用素を多分に含むゲームなので壁牌の並びが悪ければ自身のツモだけでは和了どころかテンパイにすら届かないケースが稀にあります。これは麻雀上級者でも初心者でも同じです。

ここで、上手く使っていきたいのが副露(ポン・チー・カン)です。自身のツモではなく他家の捨て牌を手牌に組み込むことでテンパイ速度をUPさせることができます。目安としては、和了の見込みが無く残りのツモ回数が3~4回。さらに手牌がイーシャンテン~リャンシャンテンなら積極的に鳴いてい形式聴牌を狙っていきましょう。

ただし、振り込みは絶対回避しなくてはなりません。終盤になってくると全てのプレイヤーの手役が煮詰まっています。形式聴牌で1000点~3000点を狙って満貫や跳満を振り込むなんて本末転倒です。100%安全牌は現物以外に難しいですが、高確率で安全牌とわかっているような牌でないと切るべきではありません。間違っても局終盤にテンパイ目的で無スジを切るような行為は避けたいものです。